二重国籍について

 なぜ国籍が二重に?

 

 世界の国々では「国籍」に対する考え方が大きく分けて二つあります。

 

 1つが「血統主義」と言って、代表的な国は日本です。日本では「日本人の親から生まれた子供は、どこの場所で産まれても日本人」という考え方をします。   

 

 もう1つが「生地主義」と言って、こちらの代表はアメリカです。アメリカでは「アメリカの土地で生まれて来た子供は、この地を引き継いでいくのだから、両親の国籍に関係なくアメリカ人」 とする考え方をします。

 

 ではこの「ハワイ出産」の場合どうなるか、ちょっと考えてみましょう。    

 

 まず赤ちゃんはアメリカ国内で生まれるわけですから、「生地主義」の考え方によってアメリカ政府より、アメリカ国籍が与えられます。

 そして日本政府はどうかと言うと、親が日本人であれば「血統主義」の考え方によって日本国籍を与えるのです。

 したがって「ハワイ出産した日本人カップル」の子供はこの両方によって日米の二重国籍となるわけです

 

 ちなみに日本は重国籍を認めておらず、この「二重国籍」は例外規定になります。したがって 日本の国籍法では 『二重国籍』の子供は、22歳でどちらかを選択するように定められています。(2013年現在)。

 

 国籍法についてはこちらのサイトにわかりやすい解説が掲載されています。

 ○世界の子育て研究所:コラム「世界の国籍法」

 

二重国籍のメリット

二重国籍となり「二つのパスポートを持つ」利点はいくつもあります。

 

 その最たるものは居住です。当たり前ですがどの国でも、自国民が自国に住むのにビザは不要です。自国民であれば、自国の領土の中では無期限に滞在でき、就労も自由ですし、仕事がなくなっても生活保護すら受け取れます。またパスポートを持っている日米両国の居住が自由になるだけでなく、それ以外の友好国でも有利になることがあります(たとえばアメリカ→カナダなど)。

 

 たとえば、日本とアメリカ以外の第三国に住み続けたい状況が将来起きたとします。経済大国である日本とアメリカのパスポートは、世界のほとんどの国で一定期間ビザなしで滞在することができます。この二つのパスポートを組み合わせて利用すれば、ビザなしでいつまでも合法的に滞在が可能になります。

 

 たとえば、最初はその国に日本のパスポートで90日滞在したとします。そしてその期限が来たら一旦出て、次にアメリカのパスポートで再入国します。そしてまた90日居住して、次にまた日本のパスポートで・・・・ということを繰り返せば「観光」の範囲で滞在を続けることができるわけです。いちいちビザの申請や更新をする必要がないですし、住民税の支払いとも免除されます。こうした滞在は「PT(=Perpetual Traveler=「永遠の旅行者」)と呼ばれ、リタイヤ後の生活などには便利です。  

 

 また税金についても日米の差異を利用することができます。

 

 日本の法律では、相続時に被相続人が日本国籍を有しているかどうかで、日本国の相続税がかかる相続財産の範囲が異なります。相続する人が日本国籍を持っている場合、全世界にある相続財産が日本の相続税の対象になります。しかし、日本国籍以外でしたら、日本国内の相続財産のみが相続税の対象になります。

 

  つまり、日本に住んでいないアメリカ人が日本人の資産を相続する時、日本の外にある資産の相続税や贈与税がかからない、という規定があるのです。

 

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