いいことばかりではない

 

 「ハワイ出産」はいいことばかりではありません。また内外からこれに対する様々な意見があることも承知しています。当サイトは決して「いい話ばかりをする」のではなく、「ハワイ出産」でリスクとなる点もきちんと皆様に明らかにしておくべきと考えています。 

 「ハワイ出産」は下記のような注意点もあり、事前にきちんとリスクを考えておくべき、と当会では考えています。

 

1.300万円~400万円くらいかかる

 率直に言って「ハワイ出産」にはお金がかかります。それも数十万円単位ではありません。もう一ケタ上の金額が必要です(金額試算は別項目参照)

 個人差も為替レートもあって一概に言えませんが、目安として、だいたい300万円~400万円程度のご用意が必要になります(2014年現在)。

 後述しますが、出産時にちょっとキツかったので、数日退院を延ばして病院でゆっくりと静養したい・・・と思っただけで、すぐに30万円とか50万円くらい余分に費用がかかります。率直に申して、このような金額が負担になる方は、やめておいた方が無難です。

 

2.時間も3か月かかる

 第二に、「ハワイ出産」は時間がかかります。だいたい3か月くらいの滞在が必要になります。

 

 と言うのは、赤ちゃんは予定日の1か月前からは「いつ生まれてもおかしくない」状態に入りますから、それまでにはハワイに到着しなくてはなりません。また産後は、赤ちゃんの耳の鼓膜がつかないと飛行機に乗れません。鼓膜は人によりますが、早くても2週間程度はかかり、遅い赤ちゃんでは産後6週間(=約1か月半)かかった事例が当会で2件確認されています。

 

 ご存じのとおり、出産は「予定が立たない」ケースがほとんどで、予定日の1-2週間のずれはあって当たり前です。産後もお母さんや赤ちゃんの体調などによって手続きや帰国日などが左右されますから、なかなか計画通りに行きません。
 したがってラッキーな方では2か月程度で帰国できるケースも稀にはありますが、そのことを事前に保証はできないのです。

 

 もちろん、日本でのお仕事やご予算の都合などいろいろご事情はおありでしょうが、赤ちゃんのお体のこともありますから、タイトな計画を無理して強行するのは大変危険です。スケジュールには十分余裕をもって計画を立ててください。

 

3.入念な準備が必要

 上記のように「ハワイ出産」はふつうの「海外旅行」ではないとお考えください。決めて「ハイ、来週行きます」というわけにはいかず、日本で出発前にいろいろ手配したり、産婦人科に相談をしたり、荷物を発送したり・・・と、事前に色々と準備が必要です。特に、入国審査で失敗して「入国拒否」となると、ハワイに入れず強制送還になります。こうなると、向う10年は二度とアメリカに入れません。

 また、日本からのお手伝いにいらっしゃるご親族やご友人の方の調整をつける必要がある場合もあります。いずれにしても「ちょっと行けば何とかなるでしょ」と軽い気持ちで考えず、入念な下準備をしてください。

 

4.体に負担となる場合もある

 「ハワイ出産」はお腹が大きくなってからの渡航ですから、もちろん体に全く負担がないとは言えません。その方の体力や健康状態によってはお勧めできない場合もあります。特に妊娠中毒症や糖尿病など病気を発症している場合、また、母体だけでなく胎児にも異常がある場合、特に未熟児の場合は「ハワイ出産」はあきらめた方がよいでしょう。

 したがって、お医者様にはかならず出発前(のできれば早い時期から)に相談をし、渡航前提で入念な診察や検査をしていただいてください。その結果、お医者様から「渡航はダメな体の状態」だと医学的に診断された場合、たとえ直前であっても無理せず渡航は中止してください。あなたや子供の命より大事なものは、他にありません。

 

4.アメリカ人としての義務も発生

 アメリカ国籍を取得して「アメリカ人」となった赤ちゃんには、アメリカ人としての権利もありますが、同時に義務も発生します。

 たとえば男の子は18歳になったら徴兵名簿への登録の義務があり、登録しないと罰金が課されます(Selective Service System)。また将来、大人になって収入が発生した時、日本で働いていてもアメリカへの納税義務が発生する場合があります。

  

 確かに「ハワイ出産」では赤ちゃんにアメリカ国籍が得られます。現在「世界最強」のアメリカ合衆国の国籍は、もちろん持っていると様々なメリットがあります。また国籍は、将来欲しくなった時にいくらお金を積んでも「お金で買える」ものではありません。出生時のこのタイミングで上手に取ってしまうのが、一番安上がりでかつ簡単な方法であることは間違いありません。


 しかし、この先も一生日本で暮らし、留学も移住もしなければ、アメリカでの生活なんか縁がない・・・という方もいらっしゃいます。そうした方々にとっては、お金と手間をかけてまでアメリカのパスポートを取る意味は、あまりありません。

その方の人生にとっては、他のことにそのお金と時間を注ぎ込んだ方がよい場合もあります。 

 ですから、今「ハワイ出産」をお考えになられていらっしゃる方は、本当にそれがご自身と赤ちゃんにとっていいことなのかどうか、一度、専門家を交えてよくよくご検討されることをお勧めします。 

 

                               >>次 退院が早い

2001-2014 「ハワイで出産」研究会© All Rights Reseved