両国政府の見解

米国出産に対するアメリカの見解(在日アメリカ大使館)

  「VERY」      2005年10月号
  「VERY」      2005年10月号

 ハワイに限らず、外国人のアメリカでの出産とそのための入国に関しては、さまざまな法解釈と議論がありますが、現在までのところ、アメリカ政府が正式な公式見解を発表したことはありません。

 しかしこうした米国での出産について、日本の雑誌の取材を受けた在日アメリカ合衆国大使館が、以前に下記のように回答したことがあります。一つの見解として参考になりますので掲載いたします。(光文社「VERY」2005年10月号 287ページより)。

 

「妊娠していること自体は、米国本土と米国領土へのビザ取得あるいは入国の妨げにはなりません。米国政府の領事担当官は、ビザを発給するかどうか判断する際に、ビザ申請者の状況をすべて考慮します。米国到着時には、入国審査官が、訪問者を入国させるかどうか最終的な判断をします」(在日アメリカ合衆国大使館)

重国籍に関する日本政府の見解

 日本の法律は今のところ重国籍を認めていませんが、国会ではこのような議論が起こっています。参考までにご覧ください。

 

(平成16年参議院議事録より)

 小泉首相と野沢法務大臣(当時)の二重国籍容認に関する見解
   平成16年3月8日 参議院決算委員会 [発言125]

 

*民主党参議院の円より子議員が、小泉首相と野沢法務大臣(当時)に重国籍の状態について質問し、両大臣がそれに対し「法改正も含め適切な対応をしたい」と容認する方向で回答しています。


■円より子君 

  前田法務大臣のころから延々ずっと各法務大臣にこのことは質問をさせていただいて、皆さん法務大臣は結構前向きでいらっしゃいますのに、なかなかこれができないというのは本当に残念でございまして、是非、民法改正の中の一つとして、子供の権利、そしてそうした働く女性たちや自分のアイデンティティー喪失に悩まれる方たちのためにも、夫婦別姓のことも早急に御検討をいただきたいと思っております。これは総理にも本当はお願いしたいことでございます。  

 

  さて、もう一つ法務大臣にお聞きしたい。これも総理にもお聞きしたいんですが、実はフランス人を父に、日本人を母親に持って、フランスで生まれフランスで育っている十八歳の男の子から手紙をもらいました。

  彼は二十歳になると、フランスでずっとこれから住み続けるならば日本国籍を放棄しなければいけない。そして、彼は毎年おじいちゃん、おばあちゃんのいる日本に来て、日本語ももちろん勉強し、一か月ですが日本の小学校、中学校にずっと通い、日本をとても誇りにして、日本が大好きな男の子なんですね。でも、フランスでずっと住み続けて向こうで仕事をする。ところが、もしかしたら二十五か三十になったときに日本に帰ってきて仕事をするかもしれないというような希望も持っている。そうした人たちが今、全世界にたくさんいらっしゃるんですが、せっかく日本を愛している子供が日本国籍を放棄しなきゃいけないという、とてもそこで悩んでいるわけです。 
    
  自分の親の血を、また受け継いだ文化、そうしたものをすべて何か放棄するようなアイデンティティーの喪失に悩む。なぜ国籍を放棄しなきゃいけないのか。そういう方たちがこれから国際結婚や、また国際結婚じゃなくても外国で仕事をする方たちが増えていくこうしたグローバルな社会の中で、こういう問題は早急に私は改めた方がいいのではないかと思うのですが、いかがお考えでしょうか。まず総理から。済みません。

 

■内閣総理大臣(小泉純一郎君) 

  私も実際知り合いの人がおりますので、フランスのみならず各国からそういう話を聞いております。率直に言って円さんみたいな感想を持ったわけです。で、どうなのかと聞いたら、なかなか難しいんですね、手続上、今までの二重国籍の問題。やっぱりこういうのは、国民的議論も踏まえましてよく検討する必要があるのではないかと思っております。

 

■国務大臣(野沢太三君) 

  この国籍法につきましては、これまでも我が国を取り巻く国際情勢や国内情勢の変化等を踏まえて、所要の法改正を行うことも含め適切に対処してきたところでございますが、今後とも御指摘の点を踏まえながら、こうした問題についての国際的な動向等を注視してまいりたいと思っております。世界的な傾向を見ますと、二重国籍等を認めるという流れが今のところ大きくなっているように伺っております。

 

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